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ホットスタンプ式印刷機とは、活字と呼ばれる金属を温め、エアーシリンダー等を使って活字に加圧し、印刷する装置のことです。
熱で接着できる顔料成分を利用し、活字を被印刷物に押し当てて印刷するため、被印刷物に押し跡が残るのが特徴です。また、色替えはマーキングテープの交換だけで、液体インクや有機溶剤などを使用しないので乾燥時間も不要です。
印刷対象物としては、結束バンドやコネクターなどの樹脂成型品、コントロールケーブルや被覆電線などが該当します。
ホットスタンプ式印刷機に使用するマーキングテープは、以下の5つの層に分けられています。
PETフィルム | 各層を保持するためのフィルム |
リリースフィルム | PETフィルムからトップレイヤー・金属化層・接着層を分離するための層 |
トップレイヤー | 色や柄を決める保護層 |
金属化層 | 金属化された電気めっき層 (90%がアルミで構成しているため「アルミ層」とも呼ばれます) |
接着層 | 被印刷物に付着する熱可塑性樹脂 |
印字は、リリースフィルムで分離され、トップレイヤーから下の層が被印刷物に付着することで行われます。
ホットスタンプ式印刷機の印刷は、次の3工程で行います。
ワーク(被印刷物)受治具の上にワークをセットします。
装置の電源を投入し、温度調節器を目的の活字温度に設定します。設定温度まで上昇した後、手動またはエアシリンダーの降下力で活字をワークに熱加圧します。
ワークに接した活字の凸部が当たるマーキングテープの顔料が熱加圧により離型層から分離し、転写され、印字に色を入れると同時に刻印されます。
手動またはエアシリンダーの上昇力によって、活字が被印刷物から離れます。被印刷物を受治具から取り外すと印刷終了です。活字が上昇すると同時に、マーキングテープは次の印刷のため、テープ搬送ローラーでまだ転写されていない部分が受治具上に自動搬送されます。
なお、印刷内容の変更方法は、ヘッドユニットの種類によって異なります。
・回転活字型の場合
活字選択ハンドルを回転させ、印刷内容を再選択します。
・差込活字型の場合
他の印刷内容を活字ホルダーにセットし直します。
ホットスタンプ式印刷機の主なメリットは次の3つです。
活字の形状に合わせて被印刷物が変形し、刻印されます。たとえ色が剥がれたとしても刻印による凸凹が付くため認識が可能です。
ホットスタンプ式印刷機のマーキングテープには様々な色があります。メタリック色も対応可能で、意匠性のある識別表示印刷も可能です。
ホットスタンプ式印刷にかかる費用は、電気代とマーキングテープのみです。テープは比較的安く調達できるため、インクが高価なインクジェットやレーザープリンタに対してコストを抑えられる傾向があります。
一方でいくつか限界もあります。
被印刷物に活字を押し当てて印刷するため、被印刷物の材質、形状によっては印刷できないものもあります。また、マーキングテープの色は一色のため、写真のようなマルチカラーには対応できません。
熱をもった活字を被印刷物に押し当てて印刷するため、活字による熱変形可能な素材でないと印刷できません。 また、活字を交換する際は、熱くなった活字を冷やす時間を要します。
活字を装置に格納する構造のため、インクジェットやレーザープリンタとは異なり、印刷できる文字数には制約があります。
コントロールケーブルは、自動車やオートバイ、建機・船外機等の多種多様な分野における各種制御・操作に使用されている重要部品です。コントロールケーブルは、過酷な環境下で使用されることもあるため、その識別表示には高い視認性、耐擦過性、耐油性が要求されます。視認性においては、単色の印刷が前提であるレーザープリント式に対し、ホットスタンプ式は視認性の高い印刷色が選べます。耐擦過性、耐油性においては、設置後に油分等で印刷が消えてしまうと全く識別できなくなってしまうインクジェット式などに対し、ホットスタンプ式は印刷色が無くなっても刻印による識別が可能です。
鉄道車両・機器製造業界では、動力系と制御系が混在した多くの配線が必要となります。誤操作の防止、安全性の確保のために、ホットプリント式印刷による識別表示が広く使用されています。
メタリック色などの対応も可能なので意匠性のある印刷が可能です。皮製品においては、マーキングテープは使用せず、直接活字を表面に当てて刻印する印刷方法もあります。
様々な材質に活用できるホットスタンプ式印刷機ですが、熱変形できない材質には適応できない場合があります。ここでは、どのような材質が適しているかご紹介します。
加熱によって変形する樹脂は、ホットスタンプ式印刷機での印刷が可能です。適応できる樹脂の材質は、汎用樹脂からエンプラまで様々です。
また、熱硬化性の樹脂は、一度固まると熱を与えても変形しないと思われがちですが、ある一定以上の温度に設定し加圧することで印刷が可能です。
配線材料では、チューブ、被覆電線、コネクター、結束バンド等があり、これらは容易に加圧、加熱で変形できるため、ホットスタンプ式印刷機にとても適しています。
革製品や紙などの繊維材も、加圧による変形がしやすくホットスタンプ式印刷機との相性が良いです。マーキングテープを使用せず、加熱だけで変色させる印刷も可能です。
金属は熱変形しないため、ホットスタンプ式印刷機は適応しません。金属に印刷する場合は、インクジェットまたはレーザーマーキングが有効です。
インクジェット式は、ノズルから噴射されたインクの粒が電極によって偏向し、印刷面に吹き付けられます。ホットスタンプ式印刷機とは異なり、非接触で印字できるため、包装フィルムやペットボトル・缶など、あらゆる形状の被印刷物に対応できるのが特徴です。
しかしながら、インクに有機溶剤を使っている場合もあり、乾燥時に僅かながら環境負荷物質が空気中に放出されるため、環境面においては、ホットスタンプ式印刷機が有利です。また、インクジェット式印刷機は、色を変更する度にインクタンクやノズルの清掃が必要ですが、ホットスタンプ式印刷機は、インクリボンを交換するだけで容易に色を変更できます。
サーマルプリント式印刷機は、インクの転写のみで刻印はされないため、インクが剥がれると何が書かれているか分からなくなりますが、ホットスタンプ式印刷機は刻印によって被印刷物を物理的に印字の形に変形させるため、たとえ顔料が剥がれても識別が可能です。
また、サーマルプリント式印刷機は、被印刷物が平らでなければ印刷できませんが、ホットスタンプ式印刷機は被印刷物が電線のような曲面形状だとしても、それに合わせた形状の活字を製作することで、印刷が可能となります。
レーザープリント式は、発振器で増幅したレーザー光を被印刷物へ照射して印刷するので、インクジェット式と同様、非接触で印刷できます。また、インクリボンを使用しないため、消耗品のコストを削減できます。
一方で導入コストが高い、レーザー光の焦点距離セッティングに手間が掛かる、印字色は基本的に被印刷物の炭化色となることや、燃焼ガス発生により環境負荷が掛かるなどの側面が挙げられ、シンプルなホットプリント式印刷機が有利な面もあります。
様々な形状や素材の被印刷物に対応できるホットスタンプ式ホットマーカーです。被印刷物に対応した受治具を製作することで、被覆電線やコントロールケーブル、コネクターや結束バンドなどに印刷できます。また、特注の活字を製作すれば、英数字だけでなく、ロゴなどの印刷も可能です。メタリック色にも対応しているので、意匠性の高い印刷にも適しています。
動作タイプは、エアーシリンダータイプと手動タイプの2種類です。製造ラインへの組み込みも可能で、非常に自由度の高い機種です。
マークチューブ製作に特化したホットスタンプ式ホットマーカーです。自動でチューブを送り、切断する機能が付いているため、簡単に印字数に応じた長さのマークチューブを印刷できます。印字の最大桁数は8桁で、3.0mmから6.0mmのマークチューブに適合しています。本体は省スペースで持ち運びも可能です。(外形寸法:幅290mm×奥行き290mm×高さ325mm)
詳しくはこちらのカタログを参考にしてください。
https://www.hotmarker.com/catalog/03/
ハンドヘルドタイプのホットスタンプ式ホットマーカーで、現場での作業中に識別表示が必要となった場合等、手軽に使うことができます。被覆電線への直接印刷のほか、マークチューブの製作、また活字と受治具を交換することで様々なものに貼りつけて使用できるマーカーラベルや、配線を束ねる結束バンドも印刷可能です。また、印刷内容はダイヤル式で簡単に変更可能です。
詳しくはこちらのカタログを参考にしてください。
株式会社シーティーケイ
COMPANY複雑な電気配線等を適切に識別し、確実に処理するために生まれた「ホットマーカー」は、電力、公共交通機関、産業用ロボット、工作機械、自動車をはじめ、
様々な業界で幅広く活躍しています。
シーティーケイは、この分野におけるトップメーカーとして、お客様の多様なニーズにお応えしています。